ツェーザリ・キュイの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作3選

出典:[amazon]Piano Transcriptions

「ロシアの5人組」の1人として国民音楽の普及に務めたツェーザリ・キュイ。現在ではキュイの作品を聴く機会はほとんどありませんが、弦楽四重奏や歌曲など多くの作品を残しています。本職は軍事専門家として名声を博したキュイは、「余技」(アマチュア)の音楽家であると同時に辛口批評家でもありました。

「余技」で作曲をしていたキュイですが、その作品をじっくり聞いてみると、評論家としての厳しい顔とは違った側面が見えてきます。そこで今回は、キュイの作品の特徴やおすすめ作品を3つ紹介します。

キュイの作品の特徴

ピアノ曲や歌曲、弦楽四重奏曲などからオペラまで、膨大な数の作品を残したキュイですが、交響曲や交響詩といった大きな作品は残していません。その理由としては、キュイのオーケストレーションの才能を「素人的」と感じていたバラキレフの判断だったのかもしれません。

バラキレフは音楽仲間に「交響曲を書くよう」指示するのが常でしたが、キュイにはその才能が乏しく、交響曲を作曲するよりもオペラ(歌曲など)に向いていると考えたためオペラの作曲を示唆しました。そしてオペラの作曲を提案したバラキレフは、作品編曲を担当し、多くの作品でキュイの創作に手を差し伸べました。その甲斐もあってか、キュイは生涯で15ものオペラを作曲できたのです。

児童向けオペラも作曲

キュイのオペラで興味深いのは、「長靴をはいた猫」や「赤ずきん」など児童向けのオペラも作曲している点です。特に「長靴をはいた猫」はドイツで人気を得てたびたび上演されました。

キュイの作品を聞くと全体としてロマン派的傾向が強く、優しいメロディーの作品が多いので、子供たちにも聴きやすかったのかもしれません。なお、キュイは児童向けオペラを全部で4つ作曲しています。

リストに心酔していたキュイ

辛口の批評家でもあったキュイですが、ベルリオーズリストは評価していました。なかでもリストに対する尊敬は強く、自身の著書「ロシアの音楽」や「ピアノ組曲」をリストに献呈しています。反対にワーグナーなどにはあまり関心を示さなかったと言われています。
リストはキュイのオペラ「ウィリアム・ラトクリフ」を絶賛したので、もしかしたらそれが余程嬉しかったのかもしれませんね。

晩年は失明の中で作曲を続けていた

キュイは亡くなる2年前に失明してしまいます。しかしそれでも口述によって作曲を続け、「キリストの復活」や「未来派讃歌」などの歌曲を残しました。特に晩年の歌曲は秀逸で、1908年に作曲された「7つの合唱曲」の1曲、「Everywhere Snow」(日本語訳なし)は必聴の価値ありです。キュイの本来の才能が存分に発揮された、美しく神聖なメロディが楽しめます。

おすすめ作品3選

キュイのおすすめ作品を紹介します。ロシア国内では嫌われ者だったとは思えない、優しいメロディーがとても印象的です。

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オリエンタルCésar Antonovich Cui, Op. 50 (Orientale)

「ヴァイオリンとピアノのための24の小品【万華鏡】」に収められた作品で、キュイの作品でもっとも良く知られています。2分程度の短い作品ですが、「オリエンタル」というタイトルの通り、聞いていると夕暮れの暖かさが伝わってくるようです。1893年に作曲され、日本でも1934年に諏訪根自子(すわ・ねじこ)が録音を残しています(※1)。よく聞いてみると、チャイコフスキーの「スラヴ行進曲 作品31」に似ていることに気がつく方もいるかもしれませんが、「オリエンタル」と「スラヴ行進曲」はどちらもセルビアの民謡「明るい太陽」という作品を元に作曲されています。

※1、諏訪根自子は大正時代に生まれた日本クラシック音楽黎明期を代表するヴァイオリニストです。若くして才能を発揮した根自子は、ヨーロッパに留学し、ベルリンフィルとの共演も行っています。作家有島武郎や有島生馬などの白樺派の作家とも交流があったそうです。

25の前奏曲César Cui – 25 Preludes for Piano Op.64

キュイはピアノ曲も多く作曲しています。そのなかでも「25の前奏曲」は有名で、現在でも稀に演奏されるようです。1903年に作曲したこの前奏曲集はロシアの国民音楽的要素よりもどちらかという「ロマン派的」作品が多いのが印象的です。
これはショパンやシューマン、ベルリオーズ、リストなどを好んだキュイの特徴かもしれません。サロンなどで流れてきそうな優雅な前奏曲集です。

カフカスの捕虜(ほりょ)Михаил Александрович Кавказский пленник Cesar Cui

1883年にマリインスキー劇場で初演された全3幕からなるオペラです。「カフカス」とは「コーカサス地方」のことを指します。ロシアの文豪プーシキンの同名の詩を基に作曲され、ヴィクトル・アレクサンドロヴィチ・クルイロフという人物が台本を担当しました。
キュイの長編オペラで最も上演回数が多い作品であり、ロシアを超えてベルギーのリエージュでも上演されました。

この作品は「ロシアの5人組」の作品のなかでも、初めて西側諸国で上演されたオペラであり、彼らにとって記念碑的作品とされています。現在では演奏機会がないものの、キュイの国民音楽を代表する作品の1つとされています。

まとめ

キュイのおすすめ作品を紹介しました。「長靴を履いた猫」や「赤ずきん」などの児童向け
オペラを作曲したのはちょっと驚いたのではないでしょうか。残念ながら作曲の経緯まではわかりませんでしたが、キュイは意外と子供好きだったのかもしれません。作品からは辛辣な一面というよりも、繊細で線の細い、心の優しさが伝わるようです。マニアックな作曲家ではありますが、これを機会にぜひ聞いてみてはいかがでしょうか。

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