シャルル=ヴァランタン・アルカンの作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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19世紀におけるフランス音楽界に彗星の如く現れたシャルル=ヴァランタン・アルカン(以下アルカン)。わずか6歳でパリ音楽院に入学し、14歳にして音楽学校で教鞭を取るなど、生涯の早くから音楽の才能を発揮し注目を集めました。とくにピアノテクニックにおいては、フランツ・リストのライバルと称され、当時のフランスを代表するヴィルトォーゾとしても高い名声を獲得しています。そこで今回は、アルカンの作品の特徴や、おすすめ代表作を5つ紹介します。どの作品も超絶技巧満載なので、ぜひ参考にしてみてください。

アルカン作品の特徴は?

アルカンの作品にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは2つの点について解説します。

ピアノの超絶技巧

アルカンの特徴といえば、なんといってもピアノの超絶技巧が挙げられます。彼が生み出した作品は、どれも高度な技術と演奏体力が求められるほか、メロディ維持も要求されるため、演奏は非常に困難を極めます。なかには「演奏不可能なほど難しい」とされる作品もあり、現代でもレパートリーに加えているピアニストはそれほど多くありません。また生前中のアルカンは、フランツ・リストのライバルとしても評価されており、その点だけでもアルカンが極めて高いピアノ技巧を有していたことがうかがえます。

再評価され始めたのは20世紀後半から

アルカンは1888年にこの世を去っており、その頃はすでに忘れ去られた作曲家として死後に注目されることはありませんでした。20世紀初頭に入ると、ブゾーニやハロルド・バウアーといった一部のピアニストに取り上げられていたものの、アルカンが再評価され始めたのは、1970年代以降まで待たなくてはなりませんでした。

1977年にイギリスで再評価の兆しが高まると、1984年にアルカン協会が設立されたことをきっかけに、アルカンの評価が徐々に高まり始めます。その後ロナルド・スミスによって『短調による12の練習曲』の全曲録音がなされると、世界的な評価を集めるようになりました。

日本においても、ピアニストの森下唯さんによる『アルカンコレクション』がリリースされており、耳にする機会が徐々に増え始めています。

アルカンのおすすめ代表作5選

アルカンの作品を5つ紹介します。今回はすべてピアノ曲から選出しましたので、ピアノ学習者の方は、ぜひチャレンジしてみてください。

演奏会用練習曲「騎士」

1844年に楽譜出版された、ピアノのための練習曲です。難曲で知られるアルカン作品の中でも特に難曲として知られ、演奏には超絶技巧が求められます。あまりに難しすぎるため、演奏会で取り上げられることも少なく、現在でもあまり録音がされていません。一つひとつのパッセージにおいて高度な技術と、正確な和音構成がこの曲をさらに難しくする理由だと考えられています。演奏時間は6分程度です。

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練習曲「鉄道」

こちらも1844年に作曲されたピアノ曲です。タイトルの通り鉄道(機関車)が動く様子からインスピレーションを受けて作曲されました。「騎士」とは異なり、アルカン作品でもっともよく知られており、録音も少なくありません。しかし難易度が低いというわけではなく、こちらも超絶技巧と演奏体力が求められる難曲です。蒸気機関車が走る様子を見事にピアノで再現した名曲ですので、ぜひ聴いてみてください。

ジーグと古い形式によるバレエの音楽

ジーグ(ジグ)とは、8分の6拍子あるいは8分の9拍子の舞曲を意味し、イギリスやアイルランドの伝統的舞曲として発展しました。アルカンはジーグをピアノ曲に転用し、併せてバレエ音楽の要素を取り入れています。作品は作曲家兼ピアニストであった弟のナポレオン・アルカンに献呈されています。バレエ音楽というと優雅でゆったりとした作風を連想しますが、本作は冒頭から激しい展開となり、息を呑むような颯爽感さえ感じます。
また本作は、アルカンがバロック音楽に関心を示した作品の1つとしても重要な位置を占めています。演奏時間はおよそ6分です。

グランド・ソナタ「四つの時代」

1847年に作曲したアルカンのピアノソナタです。全4楽章で構成されているものの、一般的なソナタ形式とはかけ離れたアルカン独自の構成で作曲されています。アルカン生前中には1度も演奏されておらず、1973年8月、イギリスのピアニスト、ロナルド・スミスによって初演されました。「四つの時代」というタイトルの通り、4楽章すべての楽章に標題が付けられており、それぞれ「第1楽章 20代」「第2楽章 30代ファウストのように」「第3楽章 40代幸せな家族」「第4楽章 50代縛られたプロメテウス」となっています。

演奏会用ソナタ

最後はアルカンが1857年に作曲したチェロとピアノのためのソナタです。作曲からおよそ4年後の1861年に楽譜出版されました。全体としてチェロが主旋律を奏でることから、チェロ・ソナタと位置付けられる場合もあるようです。また後年にヴィオラ用にも編曲されており、現在では幅広い演奏家によって演奏されています。全4楽章構成となっており、ピアノのみならず、チェロ奏者にも非常に高度な技術が求められる難曲です。悲劇的な結末で終わる点において、アルカンらしさが顕著に現れています。

まとめ

アルカンの作品の特徴やおすすめ代表曲を解説しました。近年、再び注目を集め始めたアルカンですが、初めて耳にされた方も多いのではないでしょうか。演奏を見てみると、フランツ・リストに匹敵、あるいはそれ以上と思われた方もいることでしょう。アルカンの作品の魅力は、その技巧だけでなく、優雅で洗練されたメロディーにもあります。この記事をきっかけに、今大注目のアルカン作品を聴いてみてはいかがでしょうか。

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