ジョルジュ・ビゼー「カルメン」「アルルの女」の解説と分析。あらすじや登場人物、楽曲編成は?

出典:[amazon]Carmen Suites & L’Arlesienne Suites

ビゼーの代表作と言えば「カルメン」「アルルの女」です。ビゼーはその生涯で積極的にオペラを作曲しましたが、今ほどの人気は獲得できずに、36歳という若さでこの世を去りました。現在の人気を知ったら、天国のビゼーがどれほど喜ぶでしょうか。今回は、「カルメン」と「アルルの女」をご紹介します。

カルメンとは

カルメンは、フランスの作曲家ビゼー最晩年の傑作オペラです。フランス・オペラのみならず、あらゆるオペラの中でもっとも人気のある作品の一つとされています。初演は1875年3月3日、パリのオペラ=コミック座で行われました。原作はフランスの作家メリメの同タイトルの小説で、脚本はルドヴィック・アレヴィとアンリ・メイヤックによって書かれました
当初は別の劇場で上演の予定でしたが「オペラの内容が不道徳」という理由で断られたそうです。カルメンは、上演当初はそれほど人気ではありませんでした。皮肉なことに、ビゼーの死後、カルメンの人気が高まりました。

あらすじ

タバコ工場で働くジプシーのカルメン。カルメンはその美貌で男性を誘惑しますが、竜騎兵のドン・ホセは見向きもしませんでした。そんなドン・ホセの気を引くために、カルメンは花を投げつけアピールします。その後、工場でケンカ騒ぎを起こしたカルメンは牢屋に送られることになります。護送を命じられたドン・ホセでしたが、カルメンに誘惑され「酒場で会おう」という約束を残してカルメンを逃がします。

カルメンを逃がしたことで投獄されたドン・ホセでしたが、やがて出所し、カルメンのもとへ向かいます。しかしその頃、すでにカルメンの恋心は闘牛士のエスカミーリョに移っていました。カルメンと再開したドン・ホセでしたが、今度は密輸団に入るように持ちかけられます。愛するカルメンのため、全てを捨てて密輸団に入ったドン・ホセでしたが、許嫁のミカエラの説得と、母の危篤を知らされ、しぶしぶ密輸団から足を洗います。

エスカミーリョと恋仲になっていたカルメンに復縁を迫るドン・ホセ。ドン・ホセは復縁してくれなければ殺すと言ってカルメンを脅します。脅しに屈しないカルメンは「それならば殺してみるがいい」と言い対抗しますが、逆上にかられたドン・ホセはカルメンを刺し殺してしまいます。

登場人物

カルメンの主な登場人物は次の人々です。

  • カルメン(メゾソプラノ)・・・タバコ工場で働くジプシーの女
  • ドン・ホセ(テノール)・・・カルメンに心を奪われる兵士
  • エスカミーリョ(バリトン)・・・闘牛士
  • ミカエラ(ソプラノ)・・・ドン・ホセの許嫁
  • スニガ(バス)・・・ドン・ホセの上官

楽曲編成

基本的なオーケストラ編成で、全4幕で構成されています。前奏曲や間奏曲が抜粋され、組曲として演奏される機会も多い作品です。組曲にはいくつかのバージョンがあり「ホフマン版組曲」「シチェドリン版組曲」(バレエ音楽用)「グールド版組曲」などがあります。

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アルルの女とは

「アルルの女」は1872年にパリのボードビル座で初演された、ビゼーの劇付随(げきふずい)音楽です。付随音楽とは、演劇を盛り上げるために作曲される音楽で、全編が音楽であるオペラとは異なります。極めて小規模なオーケストラ編成であったため、ビゼーは作曲にとても苦労したそうです。「アルルの女」も上演当初はあまり評価を得ませんでしたが、初演から6年後に再演したときには大盛況だったと言われています。

「カルメン」同様にとても人気のある作品で、現在では「アルルの女組曲」として演奏される機会が多い作品です。第1組曲をビゼーが編曲し、ビゼーの死後、友人であった作曲家のギローが第2組曲を担当しました。

あらずじ

舞台は南フランス。裕福な農家の息子フレデリは、ヴィヴェッタという娘と結婚する予定でした。しかしある日、アルルの闘牛場で見かけた女に一目惚れします(アルルとは地名です)。周囲はアルルの女をあきらめるよう説得しますが、アルルの女を思うあまりフレデリは食事も喉を通らず、しだいに衰弱していきます。

フレデリの様子を見かねた母親は、アルルの女を認め、恋人のヴィヴェッタもフレデリのために身を引くことにしました。しかしヴィヴェッタの思いに心を動かされたフレデリは、アルルの女をあきらめ、ヴィヴェッタとの結婚を決心します。ところが、ヴィヴェッタとの婚礼の式の当日、フレデリは、ミティフィオがアルルの女と駆け落ちをするという話を聞いてしまいます。嫉妬に囚われたフレデリは、苦しみから逃れるために自ら命を断ちます。

登場人物

  • フレデリ・・・裕福な農家の息子
  • ヴィヴェッタ・・・農家の娘
  • ミティフィオ・・・馬の番人

楽曲編成

「アルルの女」に用いられたオーケストラ編成は小さいものでしが、後に編曲された「アルルの女組曲」は大規模編成にアレンジされました。フルートやピッコロ、クラリネットなどの一般的な編成ですが、特に第2組曲の「ファランドール」では、金管楽器の高らかな響きが人気で、組曲全体を象徴する作品となっています。

まとめ

いかがでしたか?今回は、ビゼー最晩年の代表作「カルメン」と「アルルの女」をご紹介しました。どちらもとても人気のある曲ですが、特に「カルメン」は、世界でもっとも上演されているオペラと言われており、現在でもさまざまな演出で聴衆に愛されている不朽の名作です。上演時間は2時間40分ありますが、あっという間に終わってしまうと思えるほどです。ぜひ「カルメン」そして「アルルの女」を見ていただき、感動を味わっていただければ幸いです。

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