グレン・グールドの演奏を聴いたことがありますか?グールドの演奏を1度でも聴いたことのある方ならば、その美しい音の粒に魅入られてしまうことでしょう。鍵盤とほぼ同じ高さになるように椅子を調整し、身をかがめて演奏するスタイルは、グールド独自のスタイルとして有名です。左手を指揮者のように動かし、演奏しながらメロディーを歌うのが、グールドの癖でした。今回は、グールドの演奏の特徴や評価などを、おすすめ曲と合わせてご紹介します。
グールドの演奏
20世紀を代表するピアニストであり、作曲家としても天才的才能を発揮したグレン・グールド。グールドの演奏の特徴や評価、すごさとはどこにあったのでしょうか。
演奏の特徴
グールドは、父親に作ってもらった高さ30センチの椅子に座り、前屈みになって演奏するという独特のスタイルで演奏しました。また、メロディーに合わせて鼻歌を歌いながら演奏するのも特徴で、レコーディングスタッフが注意してもやめなかったそうです。グールドの演奏を聞くと鼻歌も同時に聞こえてきますが、それは彼が音楽へ没入していることの証拠かもしれません。
グールドの演奏は「作曲家の意図を無視している」として非難されることがありました。しかしそれに対してグールドは「演奏者による解釈の可能性の追求である」という自らの信念を貫いていました。この信念が特に強く表れているのが、バッハの作品に対するのもので、「グールド以前、ゴールド後」とまで言われるほど後世に大きな影響を残しました。
世間の評価やすごさとは?
幼少の頃よりピアノをはじめ、非凡な才能を発揮したグールド。14歳でコンサートデビューし、王立音楽院では最年少、首席で卒業しました。デビュー後も「ゴールドベルグ変奏曲」の録音で世間から喝采を浴び、またたく間に世界から注目されるピアニストとなりました。
その後も多くの世界的指揮者と共演するなど、世界的に活躍の場を広めました。30代前半で、早くもコンサート演奏を引退したグールドでしたが、その後はラジオやレコード録音などに力を入れ、多くの演奏を残しています。
特にレコード録音(モノラルも含めて)に強いこだわりを示しました。グールドの録音スタイルは、同じパートを何度も録音し、その中から最高の演奏を選んで1つの作品として発表するというスタイルでした。このグールドのスタイルは、1度きりで終わってしまうライブ演奏への嫌悪感から生まれたものと考えられています。
グールドの演奏おすすめ10選
グールドのおすすめ演奏10選をご紹介します。グールドはバッハの作品を多く録音・演奏しましたが、古典音楽やロマン派、現代音楽も演奏しています。
ゴールドベルグ変奏曲(1955年版)
グールドのデビュー作です。この曲は通常1時間20分〜30分かかりますが(リピート含む)グールドは39分弱で演奏しています。この作品で、グールドはデビューと同時に大きな注目を浴びるようになりました。
平均律クラヴィーア曲集1・2
バッハの平均律クラヴィーア曲集です。すべての曲が前奏曲とフーガで構成されており、ピアノ曲の「旧約聖書」と言われる作品集です。グールドのバッハへの理解と解釈が存分に楽しめます。
ブラームス ピアノ協奏曲1番
ブラームスのピアノ協奏曲も残しています。世界的指揮者レナード・バーンスタインとの共演が有名です。この曲を演奏するにあたり、バーンスタインと曲のテンポについて言い争いになったことが有名です。
モーツァルト ピアノソナタ K331
モーツァルトのピアノソナタの中で、もっとも有名なソナタです。第3楽章は「トルコ行進曲」として知られています。グールド独特の解釈を楽しめる演奏です。今まで聴いたトルコ行進曲の印象が大きく変わるかもしれん。「モーツァルトは死ぬのが遅すぎた」というグールドのセリフも有名です。
シェーンベルク ピアノ協奏曲
グールドは現代音楽の録音も残しています。とくにシェーンベルクの作品とは相性が良かったようで、ピアノ協奏曲以外にも「月に憑かれたピエロ」(1〜7番まで)を手がけています。
ベートーヴェン ピアノソナタ 14番
「月光」ソナタです。1楽章のメロディーは、クラシックを知らない方でも1度は聴いたことがあると思います。グールドが奏でる「月光」は、まるで音楽ドラマを見ているような演奏です。
ベートーヴェン ピアノソナタ 23番 (25:50~)
「熱情」として知られています。ベートーヴェンのピアノソナタでも非常に人気のある作品です。グールド特有の繊細さと音符へのこだわりが伝わってきます。
ベートーヴェン ピアノソナタ 30番
ベートーヴェン後期の傑作ピアノソナタで「ハンマークラフィーアソナタ」とも言われています。ベートーヴェンのピアノソナタの中で、グールドがもっとも演奏した作品です。
フーガの技法
バッハの最高傑作の一つです。フーガの醍醐味をこの一曲ですべて味わえる名作です。フーガの複雑な音楽構造を鮮やかに表現した、グールドを代表する演奏の一つです。この曲でも、鼻歌を歌っています。
ゴールドベルグ変奏曲(2度目の録音)
グールドが亡くなる前年に発表されたアルバムです。デビュー時の「ゴールドベルク変奏曲」とは大きく異なり、テンポも緩やかになり、グールドの祈りのような演奏が特徴です。
まとめ
今回はグレン・グールドの演奏の評価や、おすすめ10選をご紹介しました。グルードは演奏、作曲以外にも編曲にも取り組みました。50歳という若さで亡くなってしまったのが、大変悔やまれるところです。グールドがもう少し生きていてくれたら、どんな演奏家になったのだろうかと想像が膨らみます。まだまだご紹介したい演奏がありますが、そこは是非、ご自身でグールドの世界を探求してみて下さい。そのときに、本記事がお役に立てれば幸いです。
>>グレン・グールドってどんな人?その生涯や性格は?結婚してた?死因は?
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