グレン・グールド ゴールドベルク変奏曲の解説・分析。楽曲編成や難易度は?

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「ゴールドベルク変奏曲」という作品をご存知ですか?この曲は「音楽の父」や「大バッハ」として有名なヨハン・セバスチャン・バッハによって作曲されたバロック時代を代表する名曲です。20世紀初頭まではあまり演奏される機会がありませんでしたが、ワンダ・ランドフスカ(チェンバロ奏者)やグレン・グールドの演奏がきっかけとなり再評価されるようになりました。今回は、ゴールドベルク変奏曲についてご紹介します。

ゴールドベルク変奏曲とは

ゴールドベルク変奏曲は、ヨハン・セバスチャン・バッハによって作曲された全32曲からなる変奏曲です。もとのタイトルは「2段鍵盤ハープシコードのためのアリアとその変奏曲集」という控えめなものでした。ではなぜ「ゴールドベルク変奏曲」と呼ばれるようになったのでしょうか。それには以下のような説があります。

バッハが活躍していた当時、ロシア大使を務めていたカイザーリンク伯爵という人物がいました。伯爵はたびたび不眠に悩まされており、眠れない夜にはお抱えの演奏家に音楽を演奏させていたそうです。そんなある日、伯爵はバッハに次のように依頼します。

「眠れない夜の気分をいくらかでも引き立たせるような、穏やかでしかもどこか陽気な感じの曲を作ってくれ」と。

この依頼を受けたバッハは、「変奏曲」を使うのがもっとも良いと考え「ゴールドベルク変奏曲」の作曲に取りかかりました。ゴールドベルクという名前は、伯爵が旅の際に同行させていた音楽家の名前で、バッハからしばしば音楽教育を受けていた弟子のような人物です。

完成した「ゴールドベルク変奏曲」を聴いたカイザーリンク伯爵は大変喜び、不眠になった夜には決まって「ゴールドベルク君、私の変奏曲を弾いてくれたまえ」とリクエストしたそうです。そしてバッハに100ルイ金貨を盛った黄金の杯(さかずき)を贈ったとされています。

この逸話は「バッハの生涯と芸術」を著した歴史的音楽学者のフォルケルによるもので、曲が完成したときのゴールドベルクの年齢(14歳)と作品の難易度を考えると、話の真偽はわかっていないそうです。

>>ヨハン・セバスティアン・バッハってどんな人?その生涯や性格は?

楽曲編成

最初と最後に同じアリアが置かれ、その間に基本バス(低音の音楽的主題)が30もの違った形式で繰り返される全32曲の変奏曲です。曲の最初と最後のアリアは穏やかなサラバンド形式で書かれています。

サラバンドとは、16世紀ごろにスペインからイギリスやフランスに伝わった、緩やかな3拍子が特徴の音楽様式のことをいいます。

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全体で、前半(1~15変奏)と後半(16~30変奏)の2部構成になっているのが特徴で、16変奏の楽譜には「序曲」と記されています。第30変奏では、バッハの時代に流行していた大衆音楽を取り入れながら、主題とも重ね合わせるいう粋な演出も組み込まれています。

分析

バッハは緻密に「ゴールドベルク変奏曲」を作り上げており、3の倍数にあたる変奏番号(3,6,9,12番・・・)には必ずカノン形式を採用しました。カノンとは、いくつかのパートが、同じメロディーを異なる時点から始める音楽形式のことで、有名なパッヘルベルの「カノン」がまさにこの形式です。

「ゴールドベルク変奏曲」は、変奏番号1・2・3(カノン)、4・5・6(カノン)、7・8・9(カノン)・・・変奏番号25・26・27(カノン)のように、カノンごとに小さな音楽的まとまりで構成された、建築物のような作品といえるでしょう。

不眠を解消するための音楽に、ここまで計算されつくした音楽を作曲したバッハの職人魂がうかがえる作品です。

難易度は?

気になる難易度ですが、最初と最後のアリアは緩やかなアリアなので、ピアノ初心者の方でも演奏できるレベルだそうです。しかし「ゴールドベルク変奏曲」全曲を演奏するとなると、かなりの技術が必要とされ、ドイツの音楽出版社のランキングによれば「フーガの技法」と並んで最上位難易度に認定されています。また演奏時間が90分前後あるので、全曲を演奏するにはかなりの体力が必要です。腕に自信のある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

グレン・グールドとゴールドベルク変奏曲

グレン・グールドは生涯で2度、ゴールドベルク変奏曲を発表しています。1度目は1955年、2度目は亡くなる前年の1981年です。どちらもグールド独自の解釈で演奏されており、現在も多くの人を魅了しています。

しかしグールド本人は1度目の録音について「もっとも過大評価されたレコードの1つ」と述べており、あまり納得のいくものではなかったそうです。とはいえ、どちらも名盤とされているので、聴き比べてみると面白いかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?今回は、ゴールドベルク変奏曲をご紹介しました。その歴史的背景や、楽曲編成を知ると、作品に対する興味が出てくるのではないかと思います。ゴールドベルク変奏曲はグールド以外にも多くのピアニスト・チェンバロ奏者が演奏を残しています。

例えば、世界的ジャズピアニストのキース・ジャレットがチェンバロで演奏したものが有名で、キースの演奏を聴くと、バッハの時代の風景が目に浮かんできます。
それぞれの演奏家に個性があり表現も多様なので、ぜひ聴き比べをして楽しんでみてください。

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>>グレン・グールドってどんな人?その生涯や性格は?結婚してた?死因は?

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