ジャン=ギアン・ケラス(1967-)はカナダ出身のフランスのチェリストです。甘いマスクと情熱的なチェロの音色で世界中の人々を虜にしている、今を時めくチェリストとして知られています。
今回は、そんなジャン=ギアン・ケラスのプロフィールについて、経歴はもちろん、演奏の評判などについても解説していきます。
ジャン=ギアン・ケラスのプロフィール
ジャン=ギアン・ケラスは1967年の3月11日にカナダのモントリオールに生まれました。チェロの本格的な勉強はフランスに移ってから始まったようです。
幼少期は各国を転々と
カナダのモントリオールで生まれたジャンは5年間をカナダで過ごします。しかし、5歳になった時、両親の仕事の都合でアルジェリアへと渡り、そこで3年を過ごすことになりました。そして、両親の故国であるフランスへ8歳の時に移住します。
音楽教育
フランスへ移ってから本格的にチェロの勉強を始めたジャンは、リヨン国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)を首席で卒業、その後奨学金を得てドイツのフライブルグ音楽大学へと進学します。フライブルグ大学を卒業後はアメリカへと渡り、ジュリアード音楽院でさらにチェロの勉強をし、技術を磨き上げたそうです。
そして、1990年から2001年の12年間はアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席チェリストを務めました。
現在は、母校であるフライブルグ音楽大学の教授として後進の指導にあたっています。
様々な賞を受賞
ジャンは、ロストロポーヴィチ国際コンクールやミュンヘン国際コンクールなど名高い国際コンクールで様々な賞を受賞しています。
そして、2002年には有能な若手芸術家に贈られるグレン・グールド・プロテジ賞を受賞しました。
結婚の噂
甘いマスクのジャンには色恋の噂がささやかれることも少なくなかったようです。現在50後半のジャンはまだ独身のようで、目立った恋愛の話もありませんでした。また、これまでの恋人についての情報も特になかったので、どのような方とお付き合いしていたかも分かりません。
最近のジャン=ギアン・ケラス
ジャン=ギアン・ケラスのチェロ演奏は、非常に表情豊かだと評されることが多いです。最近ではその表現力を活かし、新しい演奏スタイルに果敢に挑戦しているようです。
演奏スタイル
ジャンのチェロ演奏は、時にゆったりと、時に激しくと、1つの曲の中でも様々な表情を聴きとることができます。色彩色豊かに表現されるメロディは聴くものの心を魅了するのです。また、ジャンが得意とする高音の美しい響きは大変評価が高く、高音の響きならジャンの演奏が良いという人も少なくありません。
ジャン=ギアン・ケラスが目指すもの
美しい音色で魅了するジャンは、古い考え方、古い音楽の在り方に疑問を感じるタイプのようで、型にはまった音楽を好みません。むしろ、その枠を取っ払い、音楽そのものを自由にすることで、その音楽の本来の姿が見えてくると考えているそうです。
ジャンは、バロックものから現代ものまでなんでも演奏しますが、特に自由度が低いバロックなどの古典ものに関しては、昔ながらやり方ではなく、今のやり方をあえて選び、演奏します。
今のやり方というのは、例えば本来チェンバロを用いてやるべきところをピアノで代用するなど、今使われている楽器で、「今のバロック」を表現するということです。
これは、「素材よりも表現の方が大事」というジャン独特の考え方によるものだそうです。新しい試みは、古典を古典として愛する人々からは「異端だ!」と批判を受けることも少なくないようですが、それでも大先輩たちが残した偉大な作品を「今の音」で蘇らせることの方がはるかに意味があると考えているようです。
ジャンは、音楽に限らず舞踊や美術、文学などとの共作にも意欲的で、新しい芸術の在り方を模索している最中だそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ジャン=ギアン・ケラスについて見てきましたが、前衛的ともとれる演奏活動や取り組みに興味を持たれたという方も多いのではないでしょうか。
確かな技術力を生かし、音楽に新たな生を吹き込む手法はまだまだ賛否両論多しといったところですが、音楽と他の芸術を組み合わせた取り組みなどユニークな演奏形態は話題を呼んでいます。来日した際にもチェロとダンスを組み合わせたパフォーマンスを披露し、好評を博しています。
古典作品に新たな可能性を見出す試みから発展し、今では各芸術との融合に向けた様々な取り組みで忙しくしているジャン。厳格なクラシック界から見ると、どうしても異端児扱いになってしまうところがあるような気もしますが、そんなことには構わず、今後もユニークな発想とハッとさせる芸術の組み合わせで我々を楽しませてくれることでしょう。
ジャンの演奏はYouTubeでも鑑賞できるので、気になる方はぜひ探してみて下さい。
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