ミリイ・バラキレフ「交響曲第1番 ハ長調」「東洋的幻想曲 イスラメイ」の解説や分析。楽曲編成や聴きどころは?

出典:[amazon]Mily Balakirev (Selected Piano Works)

作曲家グリンカの影響を受け、ロシア民族の音楽性を追求したミリイ・バラキレフ(以下バラキレフ)。バラキレフの音楽性は哀愁漂うロシア民謡や、オリエンタリズムを使用した優雅なメロディが特徴です。音楽家としてだけではなく、教育者としても重要な役割を果たしたバラキレフは、教え子たちに「交響曲を書くように」と指導していたそうです。そこで今回は、バラキレフの「交響曲第1番」と世界一難しいピアノ曲と評される「イスラメイ」をご紹介します。

「交響曲第1番 ハ長調」とは

1897年に完成した交響曲です。作品の構想は1860年代初頭からあったようですが、完成までに33年の月日が費やされました。ブラームスも交響曲第1番を作曲するのに21年かかったことで有名ですが、バラキレフの制作期間はブラームスをはるかに超えています。

その理由としては、バラキレフが遅筆だったこともありますが、無料音楽学校の校長を務めていたことによる「忙しさ」が原因だったとされています。あまり演奏機会の多い作品ではありませんが、その内容は素晴らしく、ロシア音楽らしい金管楽器の高鳴りが音楽を盛り上げます。

初演は1898年、サンクトペテルブルクの無料音楽学校にてバラキレフ自身の指揮で演奏されました。演奏時間は40分程度です。

楽曲編成は?

伝統的な4楽章構成となっています。それぞれの楽章の構成は次の通りです。

1楽章・Largo-Allegro vivo

ハ長調 4分の4拍子、4分の2拍子、4分の4拍子の展開です。序奏のあるソナタ形式ですが、再現部をもたない構成となっています。

2楽章・Scherzo Vivo

イ短調 4分の3拍子。2楽章のなかで3部形式のスケルツォ(※1)となっており、オリエンタルな主題が特徴です。

3楽章・Andante

変ニ長調 8分の12拍子。弦楽器とハープの伴奏に、木管楽器による東洋的な主題が展開されます。

4楽章・Finale:Allegro morderato

ハ長調 4分の2拍子でロンド形式となっています。迫力のあるドラマチックな展開が魅力です。

※1、スケルツォとはイタリア語で「冗談、戯れ」の意味です。ハイドンによって広まり、ベートーヴェンが多用したことで知られています。その後、ショパンによりスケルツォの芸術性が高められました。

聴きどころは?

ロシア的な力強さや、オリエンタルなメロディーが作品の幻想性を引き立たせている名曲です。金管楽器による爆発するような旋律が特徴で、第1楽章から第4楽章まで聞く人を飽きさせません。3楽章と4楽章は切れ目なく演奏される「アタッカ」となっていて、フィナーレまで一気に突き進む爽快感のある作品となっています。

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「東洋的幻想曲 イスラメイ」とは

1869年に作曲され、1870年に発表されたピアノ曲です。この作品は、バラキレフがコーカサス地方に旅行中に知ったトルコやイスラムの民族音楽をモチーフに作曲されました。

タイトルの「イスラメイ」とは、カバルディ地方やアドゥイゲ地方の民族舞曲のことで、8分の6拍子の速いテンポが特徴とされています。「イスラメイ」はバラキレフの代名詞とも言える作品で、難曲としても知られています。

一方で「イスラメイ」のメロディーは抒情的であり、東洋のオリエンタリズムを連想させる構成となっています。ボロディンの「イーゴリ公」やリムスキー=コルサコフの交響詩「シェヘラザード」においても「イスラメイ」の一節が引用されています。

ニコライ・ルービンシュタインによって初演され、作品も献呈されています。

楽曲編成や聴きどころは?

3部形式で構成されています。冒頭から民族音楽的で、その後華やかな主題へと展開します。2部では、東洋的で幻想的な雰囲気が一層高まり、最後は大胆なフィナーレで終わり、聞く人に息つく暇も与えないような構成です。演奏時間はおよそ8分です。

バラキレフの死後、教え子のセルゲイ・リャプノフによって管弦楽版に編曲されています。

難易度について

「イスラメイ」の最大の特徴は、作品の「難易度」です。世界一難しいピアノ曲と評され、作曲時にはピアノの魔術師リストも興味を持ったと言われています。また、リストの弟子で高名なピアニストのハンス・フォン・ビューローは「ピアノ曲のなかでもっとも難しい曲だ」と言ったそうです。

また、バラキレフに好感を持っていたフランスの作曲家ラヴェルは、「イスラメイ」よりも難しい曲を作るために「夜のガスパール」を作曲しました。あまりにも難しいので、とくに難所の部分には別案(ossias)が付けられています。

作曲したバラキレフ本人もこの作品について「手に負えない」と評したと言われています。

まとめ

今回はバラキレフの「交響曲第1番」と「イスラメイ」をご紹介しました。「交響曲第1番」は演奏プログラムになることは滅多にありませんが、「イスラメイ」は世界中の1流ピアニストが演奏していますので、聴き比べてみるとクラシック音楽の楽しさが深まると思います。交響曲全部を聞くのが難しいかたは、「イスラメイ」だけでも聞いてください。

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