ピアノのレガート・スラー・テヌートの意味や違いを解説します

ピアノ初級者の多くが最初につまずく課題として「メロディーを滑らかに弾くこと」が挙げられます。このような指摘がなされても、演奏している本人としては、きちんと音を出していて、弾けていると感じがちですが、どうやら演奏者と聴き手では「音の聞こえ方」に大きな差があるようです。ピアノ演奏では、「フレーズ」を美しく響かせるために、レガートやスラー、テヌートといった記号(指示)が使用されますが、どれも似たような意味を持つため、ピアノ初心者の中には、これらの違いが分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ピアノ演奏におけるレガート・スラー・テヌートの違いを分かりやすく解説します。

レガートについて

ピアノ練習する中で、しばしば「legato(レガート)」という表記を見かけると思います。これは「滑らかに」という意味のイタリア語で、元は「結ぶ」という意味の「legare(レガーレ)」に由来します。

楽器演奏法における“アーティキュレーション”の一つで、その多くは下記に説明する「スラー」と併用されるのが一般的です。また「レガート」はピアノ演奏に限ったものではなく、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽作品や、管楽器など、あらゆる作品でも用いられています。

演奏法については別記事で解説していますが、ピアノ演奏の場合「音と音が切れ目なくスムーズに(滑らかに)流れること」が求められます。フレーズを美しく奏でるための大切な指示なので、この記号が出てきたら十分に注意して演奏しましょう

スラーについて

レガートと似た記号に「slur(スラー)」があります。スラーはレガートと同様に「滑らかに」を指示する記号で、フレーズの上(あるいは下)に弧線が付くのが特徴です。この記号が出てきたら、「ここは一つのまとまりなんだな」と意識して下さい。

スラーは一部の例外を除いて「使用されていない作品はない」と言えるほど一般的な記号で、主にフレーズに奥行きや表情を持たせる働きがあります。また、f(フォルテ)やp(ピアノ)といった強弱記号とも併用されることも多いので、演奏者の感性や解釈によって大きく表現が異なるのも特徴と言えるでしょう。

作品、あるいはフレーズにどれだけ美しい色彩を与えられるかは、スラーの表現にかかっていると言っても過言ではない重要な記号ですので、丁寧に演奏することを心がけましょう。

レガートとの違いは?

ここまでお読みいただいた方の中には、「レガートとスラーは同じでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かに「滑らかに演奏する」という意味では同じですが、実はこの2つには大きな違いがあります。それらを簡単にすると、以下のような違いがあります。

レガート・・・滑らかに演奏するという演奏法
スラー・・・滑らか演奏する範囲

つまりレガートが出てきた箇所は、その箇所全体を滑らかに表現しつつ、スラーのフレージングを意識することが求められます。

「tie(タイ)」との混同に注意!

スラーと似た記号に「tie(タイ)」という記号があります。タイはスラーと全く同じ弧線の記号ですが、タイは同じ高さの音にのみに使用する記号なので、スラーと間違わないように注意が必要です。ちなみにタイは、同じ音符を一つの音符として表現するのに用いられます。

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テヌートについて

最後に「tenuto(テヌート)」について解説します。テヌートとは「フレーズ内の音符が持つ長さを十分に保って演奏する」演奏法です。

楽譜においては「tenuto(もしくはten)」と表されたり、音符の上か下に短いハイフン(横棒)で示されます。テヌートも演奏上とても大切な“アーティキュレーション”の一つで、作曲者の意図を解釈する上で見過ごすことのできない記号です。

「音符の長さを十分に保つ」と言われても、かなり曖昧な指示に思えますが、基本的には「何秒」や「これくらいの長さ」などの決まった長さは定められていません。しかしそれだけにテヌートの表現は、作品やフレーズに対する作者の解釈が如実に表現されていると言えるでしょう。

もちろんレガートと同時に表示される機会も多く、その場合の表現方法としては、全体に滑らかに演奏しつつ、テヌートの音符をより響かせることが求められます。これには高度なテクニックと作品に対する解釈の幅が求められますが、こうした小さな解釈の積み重ねが「演奏者の個性」を生み出しますので、意識して演奏してみてください。

「ソステヌート」と「リテヌート」も一緒に覚えよう

テヌートには「sostenuto(ソステヌート)」と「ritenuto(リテヌート)」と呼ばれる派生が存在します。この機会に併せて覚えておきましょう。

ソステヌートは楽譜上では「sosten」または「sost」で表記され、表記箇所を「各音の長さを十分に保ちながら丁寧に演奏する」ことが求められます。テヌートと同じ意味ですが、違いを挙げるとすれば、その部分を音楽の一部とし、丁寧に演奏するというニュアンスです。
ソステヌートの指示がある作品の例としては、ベートーヴェンの『月光ソナタ』が挙げられます。

一方、リテヌートは譜面上で「riten」で示され、「急に速度を緩めて」という速度記号として使われます。余談ですが、音楽用語として「riten」の他に「rit」がありますが、こちらは「徐々に遅く」を表す「ritardando」の略ですので、間違えないように気を付けて下さい。

まとめ

ここまで「レガート」と「スラー」、「テヌート」の違いをまとめましたが、違いを掴めたでしょうか。「滑らかに弾く」と一口に言っても、ピアノを始めたばかりの頃は、誰しも上手くいかなくて当然です。それでも、毎日少しずつ練習すれば、テクニックは必ず上達しますので、今回の記事を参考にしながら、ぜひご自身の演奏に活かしてみてください。

>>ピアノのレガートの練習方法!子供にもわかる弾き方、コツやおすすめ練習曲は?

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