ピアノのテクニック上達に欠かすことのできない、アルペジオ。作品が難しくなればなるほど出現頻度も多く、また複雑になるため「滑らかに弾けない」や「音の粒が揃わない」、「イメージした音が出せない」といったお悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
ピアノの上達に欠かせない、アルペジオの技術を向上させるにはどんな練習をしたら良いのでしょうか。そこで今回は、アルペジオの練習法や弾き方のコツについて解説します。
そもそもアルペジオとは?
アルペジオとは一つの和音を構成する音を、一つずつ低いもの(高いもの)から順に演奏する、分散和音の一種です。元はイタリア語で「ハープを演奏する」という意味の”arpeggio”(アルペッジオ)を語源としています。
アルペジオを使用する際には音符の左横に、波のようなマーク「アルペジオ記号」が用いられ、作品のリズムや奥行きなどを演出する目的で使用されます。
アルペジオの弾き方のコツについて
アルペジオの弾き方のコツについて解説します。大切なのは、腕や手首の力を抜いて、力まずに鍵盤に触れることです。以下ではアルペジオを弾きこなすポイントを紹介します。
コツその1・手首や腕の力を抜く「脱力」を意識する
人間の手は親指・人差し指・中指には力が入る一方、その構造上、薬指と小指の力が弱くなるのが一般的です。そのためピアノ演奏では、薬指と小指に無理に力が加わってしまい、結果的に手の動きが固くなることが少なくありません。
それを防止するための重要なポイントが「脱力」(力を抜くこと)です。慣れないフレーズを演奏する際には、最初は誰でも力みがちですが、なるべく手や腕の力を抜いて固くならないように、無理の無いテンポから始めてみましょう。
いきなり楽譜の指示通りのテンポで弾こうすると指が間違えて覚えてしまったり、「音抜け」の原因にもなるので、焦らずリラックスして取り組むことをオススメします。
さらに、以下の点に特に注意して練習してみてください。
・手首を上下にガタガタさせない(手首を一定の高さに保つ)
・肘を開かない(音の粒が揃わなくなる)
・指くぐりの音を切らさない(できるだけ自然に聴こえるように)
コツその2・最初はゆっくりと
「脱力」とも関係しますが、ゆっくりと「ミスタッチが出ない」程度のテンポで弾き始めるのがポイント。最初はかっこよく弾きこなせない自分に苛立つかもしれませんが、まずは楽譜通りに、キチンと弾けることが大切です。メトロノームなどを使って遅いテンポから始めて、正確に弾けるように繰り返し練習しましょう。
メトロノームをお持ちで無い方も、最近はメトロノームアプリという便利なアプリがありますので、アプリを活用するのも良いと思います。
コツその3・和音で弾いて音を覚える
冒頭でも説明したように、アルペジオは和音を構成する音を一つずつ順に演奏する技法です。そのため、アルペジオを綺麗に弾くために「和音で弾いてみる」のも重要。和音の音を覚えておけば、次の音を想像しやすくなりますし、「どの音をどの指で弾くのか」の確認にもなります。
それでも難しい場合は、指番号を決めることをオススメします。あらかじめ指番号を決めておけば、次の音がより弾きやすくなり、さらにはミスタッチの減少も期待できます。
コツその4・アクセントやリズムを変えて練習!
反復練習とテンポ調整により、ある程度弾けるようになったら、次はアクセントやリズムを変えて練習してみましょう。そうすることにより、ピアノテクニックの汎用性が増し、難曲にも柔軟に対応できるようになります。
アルペジオのおすすめ練習曲
アルペジオの上達に役立つおすすめ練習曲を紹介します。ピアノ経験者の方ならご存知の練習曲かと思いますが、これからピアノを始める初心者の方にもオススメの練習曲です。
『バーナム・ピアノテクニック』
ピアノ初心者のためのやさしい入門書です。どの練習曲も分かりやすく、無理なくステップアップできる構成になっていますので、ピアノを初めて触れる方にも最適な練習曲です。音符や指使いを確認しながら、じっくり取り組みましょう。
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『全訳ハノンピアノ教本』41番から43番
初心者の方から上級者まで、全てのピアノ愛好家にとって必携の練習曲集です。41番から43番までがアルペジオの練習に当てられており、全調網羅されているので音階の勉強にもなります。
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『スケールとアルペジオ』(大阪音楽大学)
ハノンと被る部分がありますが、こちらの練習曲集もアルペジオの上達に効果的です。スケールも掲載されていますので、合わせて練習するとさらに上達が早まります。毎日少しずつ練習するのにうってつけの練習曲です。
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レベル別にチャレンジ!
アルペジオが効果的に用いられた練習曲をレベル別に紹介します。どの作品も有名な作品ですので、ぜひ弾きこなせるようにチャレンジしてみてください。
初級編「平均律クラヴィア曲集第1巻第1番プレリュード」バッハ
アルペジオが使用されたもっとも代表的な作品であり、初心者の方にも弾きやすい作品だと思います。ある程度楽譜が読めるようになったら、積極的に取り組んでみましょう。
中級編「ピアノソナタ14番月光第1楽章」ベートーヴェン
ピアノ学習者のみならず、誰しも1度は聞いたことがある作品だと思います。2楽章・3楽章は難易度が高めですが、冒頭の第1楽章は比較的弾きやすいので、ぜひ練習して弾きこなしてみてください!
上級編「組み合わされたアルペジオのために」ドビュッシー
フランス印象派を代表する作曲家ドビュッシーの「12の練習曲」の1つです。ドビュッシーらしい光の反映がアルペジオによって見事に表現されています。上級者の方にぜひ練習していただきたい1曲です。
超上級編「エチュードOP10no,1」ショパン
ここまで弾けるのは、もはや音大生レベルかもしれません。全編にわたり途轍もなく高度なアルペジオで展開し、かつショパンの音楽性を再現しなくてはならないという難曲です。一説によると、どんな曲でも初見で弾きこなしたフランツ・リストが「初見で弾けなかった」作品とも言われています。
まとめ
いかがでしたか?今回はピアノのアルペジオの練習方法について解説しました。どんなことでも毎日コツコツと地道な努力が成功への第一歩です。最初は難しくて上手に弾けないかもしれませんが、今回お話したことを踏まえつつ練習すれば、いつの間にか上達していること間違いなしです!。アルペジオはクラシックだけではなく、ジャズやポップスなどさまざまなジャンルで使われていますので、焦らずゆっくりとマスターして、素敵なピアノライフを送ってください!
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