カール・リヒターの指揮の特徴。おすすめ代表曲7選

出典:[amazon]バッハ:管弦楽組曲第2番&第3番、ブランデンブルク協奏曲第5番

幼い頃からバッハの音楽に触れ、生涯をバッハのために捧げたカール・リヒターは、54歳という若さでこの世を去りました。しかしカール・リヒターが残した演奏は、聞く人の心に真っ直ぐに届き、現代でもその輝きが失われずに残っています。そこで今回は、カール・リヒターの指揮の特徴と、おすすめ代表曲7選をご紹介します。どの演奏も心に響く名演奏ですので、ご興味のある方はぜひ聴いてみてください。

カール・リヒターの指揮の特徴

カール・リヒターの指揮の特徴は、高ぶる感情をおさえながらも、作品が作曲された歴史的な背景や宗教的な奥深さを、曲全体の中に表情豊かに表現したところにあります。派手な指揮ではないですが、作品のテーマや曲の中で語られる物語を淡々と語る、ストーリーテラーのような演奏です。物静かで学者のようだったと言われるカール・リヒターの人柄が、演奏にも表れています。25歳で合唱団の指揮を任され、指揮者としてのキャリアをスタートしたカール・リヒターは、生涯を通じてバッハの研究に取り組みました。

カール・リヒターのおすすめ代表曲7選

カール・リヒターの代表曲7選をご紹介します。いずれもカール・リヒターを代表する曲ですので、これを機会にカール・リヒターが奏でる世界観に触れてみてはいかがでしょうか。カール・リヒターはバッハ演奏で有名ですが、バッハ以外も録音を残していますので、あわせてご紹介します。()内は発表年です。

1.バッハ作曲「マタイ受難曲」(1958年版)

クラシック音楽の最高峰と言われる作品の1つです。新約聖書の「マタイの福音書」を題材にしており、初演は1727年でした。全部で68曲からなる大作で、演奏時間はおよそ3時間です。「マタイ受難曲」を録音した指揮者は他にもいますが、1958年のカール・リヒターによる録音は特に評判が高く「マタイ受難曲の決定版」と言われています。

2.バッハ作曲「ヨハネ受難曲」(1963年)

マタイ受難曲と同じく、新約聖書の「ヨハネの福音書」をもとに、バッハによって作曲されました。全40曲で構成され、「ヨハネ受難曲」の初演は「マタイ受難曲」よりも3年早い1724年でした。他の作曲家も「ヨハネ受難曲」を作曲しましたが、なかでもバッハの作品がもっとも有名です。「マタイ受難曲」ほど長くはありませんが、約2時間ほどある大作です。カール・リヒターの高い精神性が余すことなく発揮された名演奏です。

3.ヘンデル作曲「メサイア」(ドイツ語版1965、英語版1972)

「メサイア」はドイツの作曲家ヘンデルによって作曲されました。ヘンデルはバッハと同じ年にドイツに生まれ、のちにイギリスへ移住しています。「メサイア」は現代でも人気が高く、比較的よく演奏されるヘンデルの代表作の1つです。上記2曲と同じく新約聖書を元にしていますが、「マタイ」や「ヨハネ」に比べると陽気で明るい曲調となっています。カール・リヒターの演奏は、重厚でありながらも透き通ったクリアな音が印象的です。

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4.モーツァルト作曲「レクイエム」(1960年)

映画「アマデウス」にも出てくる、天才モーツァルトの「レクイエム」です。曲中の「怒りの日」は有名なメロディーなので、ご存じの方もいらっしゃると思います。モーツァルトが作曲途中で亡くなったため、残りは弟子のジュスマイヤーが作曲しました。モーツァルトのレクイエムは多くの指揮者が録音を残しており、カール・リヒターもその1人です。迫力のある明快な演奏が楽しめます。

5.バッハ作曲「ブランデンブルグ協奏曲1~6番」(1967年)

ブランデンブルグ辺境伯に献呈されたことから、この名前がつきました。これまでご紹介してきた曲とは違い、明るくテンポの良い曲です。どの曲も20分ほどの長さなので、初めて聞く方にはおすすめの1曲です。とりわけ5番の協奏曲は、チェンバロ奏者でもあったカール・リヒターの「弾き振り」(演奏しながら指揮をすること)が魅力です。

6.バッハ作曲「ミサ曲 ロ短調」(1961年)

「ミサ曲 ロ短調」はマタイ受難曲、ヨハネ受難曲と同じくバッハの最高傑作の1つです。ミサ曲とは、キリスト教会がお祈りに使う「ミサ通常文」に音楽を加えたものです。「ミサ曲 ロ短調」は作曲開始から25年をかけて完成したと言われており、最終的に完成したのはバッハの死の前年でした。カール・リヒターの思慮深い演奏が味えます。

7.ハイドン作曲「交響曲94番 ト長調《驚愕》」(1961年)

オーストリアの作曲家で、「交響曲の父」と呼ばれるハイドンによって作曲されました。《驚愕》というサブタイトルはハイドンが名付けたものではなく、第2楽章の冒頭でティンパニが突然鳴り響いたことに、当時の聴衆が驚いたことから命名されたそうです。ハイドンは作品数がとても多く、交響曲だけでも108曲あります。この曲は、全体として明るく、晴れやかな曲調です。バロック音楽や、厳かな宗教音楽を演奏するときとは違う、カール・リヒターの魅力を味わえる演奏です。

おわりに

今回は、カール・リヒターの指揮の特徴と、おすすめ代表曲7選をご紹介しました。どの演奏も味わい深く、聞く人の心に強いインパクトを与える演奏です。一生をかけて音楽を探求し続けたカール・リヒターの思いが少しでも伝われば幸いです。カール・リヒターは、他にもカンタータなど多くの演奏を残しているので、ぜひご自身のお好みの1曲を探して、聞き比べなどをしてみてはいかがでしょうか。

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